なぜ本物の自然素材なのか

「本物の」というのはどういう事なのか?
「本物の」というのはどういう事なのか?
近年自然素材はブームです。多くの量産ハウスメーカー・工務店がデザイン的に取り入れてきています。しかしその多くが、新建材と呼ばれる工場生産品や、集成材と呼ばれる接着剤で木を張り合わせた材料を使用しています。なかには、「無垢集成材」なんていう「いったいどっちなんだ?」というモノもあります。


また、最近注目されている「珪藻土」ですが、モノによっては「珪藻」を数パーセント含んでいるというだけで、そのほとんどが化学物質という事もあります。これでは、見た目が「天然モノっぽい」というだけで、その「質感」や「性質」は別物という事になります。

自然素材を取り入れるならば、その素材の持つ性質を知っていて、なおかつ吟味しているかどうか、という事が重要です。では、自然素材の性質とは?使う理由とは何でしょう?
木材利用の意味
木材利用の意味
ここでは私達日本人に身近な「木・無垢材」を例にとって話を進めていきます。

木のイメージとしてはまず、視覚・触覚・嗅覚等の五感に訴えかける部分が大きいのではないでしょうか?古くから日本の気候風土に合う建築素材として「木」が使われてきました、その為に親しみがあり「木に囲まれていると暖かみがある、心が落ち着く」などの感性に影響するのでしょう。「日本人だから木の家って良いですよね」確かに、これだけでも「無垢材」を使う大きな理由になりますが、それだけではもったいない!性質・特質を知れば、無垢材にはまだまだ良い働きをもたらしてくれます。

・他の構造材料に比較して、強度・弾性・靭性(粘り強い)が大きい
・他の構造材料に比較して、熱伝達が小さい(断熱性があるという事)
・加工が容易で、施工性も高い
・耐火性が高い(意外かもしれませんが、表面が炭化して酸素が行き渡らない為)
・材種により抗菌・殺菌・脱臭作用がある(ヒバ・桧など)

と、以上のような性質もあります。そして、これからの時代に必要な要素であり、当社としても注目している点として、以下のものがあります。

 ○調湿作用がある
 ○環境問題への働きかけ
  ・炭酸ガスを取り込み、固定化して、酸素を放出する
   (木材として加工された後も、炭素を固定化したまま保存してくれます)
  ・他の構造材に比較して、資源から製品への転換が極めて省エネルギー
  ・再生可能で、条件を整えれば消費しながら資源を確保できる

調湿作用
調湿作用
日本気候の特徴として、梅雨や秋の長雨時に顕著になる「湿気・湿度」が挙げられます。湿度の影響により、快適にも不快にもなります。無垢の材料には調湿作用があり、他の同様の性質を持つ素材と併用する事で、家全体で常に「放吸湿」を繰り返し、快適な生活環境を提供してくれます。

またこの作用は、建物の結露を防ぐ事にも繋がります。冬場、ガラスにビッシリとついている結露も嫌なものですが、今住宅で問題になっているのは、壁の中で結露を起こす現象です。目に見えない所で結露を起こし、構造体を腐食させ、建物を腐らせてしまいます。「放吸湿作用」は、構造体を丈夫に保ち、耐久性が格段に向上し、建物の長寿命化に貢献します。
環境問題
環境問題
個人レベルの省エネルギー化だけでなく、環境問題にも目を向けなければなりません。地球温暖化や自然災害の脅威など、私達を取り巻く生活環境には不安材料が押し寄せてきています。

度々話題に上がる、温室効果ガス排出量の削減ですが、木はこれにも大きく貢献し、炭酸ガスを取り込み固定し、また、製造に掛かる消費エネルギーも、他の構造材である「鉄」や「コンクリート」に比べ、著しく低く抑えることが出来ます。(木に比較し、鋼材は22倍、セメントは2倍、アルミニウムは270倍と言う試算があるようです)これは、二酸化炭素の放出抑制に繋がります。
「木を切ると森林破壊につながるから、使わない方が良いんじゃないの?」と思われるかもしれませんが、木を使う事で効果が上がるという事実もあります。確かに海外では、違法伐採による天然森林破壊が大きな問題となっていますが、日本には国内需要に匹敵する、潜在的な年間生産量を充分に備えています。しかし、現実には外国産材に押されて、国内林業経営は厳しい状況に置かれています。
国産の材料を使用し、その利益をキチンと山へ還元していくことによって、現状多くの問題を抱えている林業を活性化し、適切な植林、間伐、伐採が出来る環境を整える事で、若木の成長を促進し、活発な大気浄化作用が期待できます。木は消費して終わりではなく、再生可能な永遠の資源なのです。
我々のような小さい企業でも、省エネルギー化やCO2の排出量などの環境問題に、目を背けてはならないと思っております。
もちろん無垢材は万能ではありません、デメリットもあります。新建材に比較してキズは付きやすいですし、均一な物はありません。手間ひまが掛かります。キチンと乾燥した材料を使用し、それに合った施工をすればある程度抑制できますが、上記の調湿作用により反ったり痩せたりします。

また「自然素材は体に優しい」「アトピーも治る」と謳っている所もありますが、実際に天然・自然素材にアレルギーを持たれている方もいらっしゃいますし、自然素材から、人体に有害な物質が出るモノもあります。しかしただ一つ言える事は、自然素材には既に解明されている部分が多く、対応できる場合がありますが、石油化学製品から発生する物質に関しては、まだまだ解明されていない部分が多いという事だと思います。

木の骨組みでデザインしていく
良い事も悪い事も挙げました。後はお客様が「何を選択して頂けるのか?」なのですが、重要な事は、実際に家を建てるお客様にも、家に使われる素材を理解して頂きたいという事です。

「良い家」というのは、お客様それぞれで違うと思いますが、「家」という空間の中で、それぞれに無理が生じないように、総合的に判断し、バランスをとり、かつ永続的に安全・安心・快適な生活がおくれるように、自然や周辺環境と調和していく住宅こそ、生活の基盤であり重要であると考えます。無垢の材料や天然の素材には、そのヒントがあるように思います。何も特別な事はありません。昔からやって来ていた事です。何か問題が起きたら、機械設備に頼ったり、それより強いものでねじ伏せる、というイタチごっこはやめにしたいところです。
当社には、ただ無垢材を使えば良いのではなく「材料を使いこなす」在来木造住宅を40年やってきた経験と、技術力の蓄積があります。

環境を読み解く設計力×現代の技術×当社が誇る施工力
そこに木造一筋でやってきた経験から
「木の骨組みでデザインしていく」
というエッセンスを加えた家こそ、私達が目指している住宅です。

さて「環境を読み解く設計力」とは何なのでしょうか?
それが「パッシブデザイン設計」です。


パッシブデザイン住宅
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