アーカイブ:5月2021

健康と快適さと その3 (2021年05月27日)

pino_vi

 

 

 

 

 

 

今年は例年より

梅雨が早く来そうですね

こういう時に限って外仕事が続くんですよね…

雨が降るのは大切な事なのですが

あんまり続くと困る業種もあるもので…

 

そして私

現在施工中も含めて

6件の新築工事のプロジェクトが進行中

大変ありがたい事なのですが

過労で鼻血が出そうです…

まぁ

全てのプラン提出が終わったので

ひと段落付きましたが

もし

新築のご依頼をお考えの方は

早めに言って頂けると非常に助かります🙇

 

さて

間が空いてしまいましたが

「健康と快適さと」の続き

ニュースレター版を再編集してお届けします!!

 

********************

さて

「健康と快適さと」のテーマも3回目

起承転結で言えば「転」にあたるので

少し違う角度からのお話を

今までは「床18℃問題」

つまり「床」の温度の話しをしてきましたが

今月は「室温が18℃」のお話しをします

私は2月からこのテーマでお話しを展開しておりましたが

私のパッシブデザインの師であり

当社が加盟している「Forward to 1985 energy life」

代表理事でもある「野池政宏」さんが

ちょうどタイミングが良く

『「冬の室温目標18℃以上」の詳細を追いかける』

というレポートを発表しましたので

そちらの内容を織り交ぜてお伝えします
我々のように「室内環境を快適にしよう!」と頑張っている建築士の間では

「日本は住宅環境(快適さ)に関する法制度に関しては後進国」

その点はやはり欧米の方が進んでいるという認識で

その中でもイギリス等が先陣を切っていて

イギリスの場合

英国保健省が冬季の推奨室温を定めており

その推奨温度は21℃以上最低温度を18℃と定め

賃貸住宅においては室温を18℃以上に保てない場合

改修・閉鎖・解体といった厳しい命令を下すこともできるそうです

そこで日本の有識者?建築業界関係者の間では

「18℃」という数字が一人歩きし

「室温18℃を切る家はダメな家だ!」みたいな

少々乱暴な風潮がここ数年出始めていました

私はアホなので

「ああ、そうなんだなぁ~」くらいにしか思っていませんでしたが

ここで我が師匠野池さんにある疑問が湧いてきたそうです

その疑問とは

・一瞬でも18℃を切ったらダメなのか?

・18℃は居室(人が常時居る部屋)だけの話しかそれとも非居室(廊下等)でも18℃以上なのか?

との事でした

「暖かい家」が増える事は単純に良い事ではありますが

ここでなぜ我が師が疑問に思ったのかというと

正論としてはまず

住宅の断熱性能を高めて

それでも足りなければ暖房機器に頼るというのが筋なのですが

「18℃以下の家はダメだ」という言葉が一人歩きすると

断熱性能はさておき

真っ先に設備機器に頼る事になり

暖房エネルギー消費量が大幅に増える可能性があるからとの事

(これ私の解釈です間違ってたらごめんなさい🙇)

注1、Forward to 1985 energy lifeという団体はざっくり言うと住宅のエネルギー消費量を減らしていこうという集まりです

注2、イギリスでも目標達成のためには暖房機器の使用は前提です

さすが師匠!ごもっともです

野池さんの凄い所は疑問を持つだけに留まらず

この疑問を元にWHO(世界保健機関)のレポートを調べ

そこに参照として紹介されている50本程の論文から10本程ピックアップし

検索→和訳を繰り返し

一つの結論に至ったそうです

本来A4数枚のレポートなのですが

野池さんすみません

バッサリ内容は削って結論だけを記載すると

(気になる方は是非出典元の野池さんのページを見て下さい)

(文末にリンク等を貼っておきます!)

『まず間違いなく部屋は「居室」18℃以上は「およそ」が結論だ』

(野池さんの解釈です)との事でした

そして最後に

『「居室の室温は約21℃維持を推奨する。約18℃以下になれば健康リスクが出る可能性が高い」と言っているということがよくわかった。現時点において我々が取るべき適切なスタンスも上記目標を達成出来るように「努力しよう」だろう。「すべての部屋のすべての時間を18℃未満にすることは悪だ」というようなムードを加速させるような言動は避けておきたい。』

と結んでおりました。

私の感想として

「意識を変えないといけないかな~」と思ったのは

『「室温18℃はあったかいでしょ」ではなく「室温が18℃以下になれば健康リスクが出る可能性が高い」』という事

快適うんぬんではなく

健康を害する可能性があるという事を理解しなければならないとの事

住宅設計者は「エネルギーや環境問題従事者」であり

「医療従事者」としての意識も持たなければならないという事なんですね…

正直荷が重いですが頑張らねばなりません

一級建築士だもの…

 

さて

ここで「床18℃問題」に戻ります

経験則ではありますが

うちの最新の建物は冬場天気の良い日

居室で床の温度は室温と同じか-1℃程度

室温20℃の時床の温度は19~20℃となります

これはおそらく多くの人が快適と感じるはずです

非居室(1階)は同じ条件で

室温18℃で床の温度は17~18℃ですので不快と思う人が出てくる

つまり非居室の温度も20℃に出来れば家中どこでも快適になるのですが

非居室を20℃にすると居室の室温は22℃程度となり

おそらく今度は逆にオーバーヒート状態

つまり冬でも「暑くて不快だ」と思う人が出てくると思います

私の中では「床18℃問題」を解消するには

「当面は設備機器に頼った方がコストパフォーマンスが良い」

という結論が出ており

あとはどれだけ少ないエネルギーで達成できるか?

を考えれば良いのですが

もしかすると今度は暑くて不快な人を出すリスクをはらんでおります…

この問題の解決を図ると

もしかしたら無駄なエネルギー使用を創出してしまうだけなのか…?

是非是非

皆さんのご意見をお待ちしております!!
*野池さんのレポートの詳細をご覧になりたい方は下記HPの「005」と「006」をご覧下さい

出典:温熱・省エネをテーマとした野池の議論(住まいと環境社ホームページ内)

http://www15.plala.or.jp/noike/index.html

 

*この話次回でラストです

 

 

 

 

 

シュッ〆